不当解雇をした会社を訴える場合の時効について
使用者と労働者の関係は、形式上では対等な契約関係にありますが、実際は使用者が労働者より力が強いことが通常であり、法律が労働者の地位の保護を行う必要があります。
民法上、雇用契約は契約当事者双方から自由に解約できることとされていますが、使用者が一方的に雇用契約を解約する、すなわち解雇をすると、労働者が生活に困る可能性があり、これを保護する必要があります。
よって、労働契約法は、使用者が労働者を解雇する場合には、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要としています。
これを満たさない解雇は、不当解雇として無効となります。
労働者は会社に対して、労働契約上の地位の確認や、当該期間中の賃金の請求、慰謝料請求等を行うことが考えられます。
このページでは、不当解雇をした会社を訴える場合の時効についてご紹介します。
不当解雇をした会社を訴える場合の時効について
上述のように、不当解雇をうけた労働者が会社に対して提起できる訴訟、請求は複数考えられます。
以下、各請求の時効の内容をご紹介します。
①労働契約上の地位確認請求
この請求は、労働者たる地位を失っていないことの確認を求める訴えのことをいいます。
この確認の訴えは、消滅時効にかかることなくいつでも訴えることができますが、確認請求は、確認する法的地位に争いが生じていることが求められるため、会社が労働者であることを争わないようになれば、訴えを起こすことはできません。
②解雇期間中の給料請求権
通常、労働者は働かない限り給料請求権が発生しません。
もっとも、不当解雇によって働けていない状態は、使用者の責めに帰すべき事由によって働くことができていない状況なので、例外的に解雇期間中に発生するべき給料請求権が発生します。
そして、給料請求権は、2020年3月31日までの給料であれば時効は2年、2020年4月1日以降の給料であれば時効は5年(ただし当面の間は3年)となっています。
③解雇後に行う残業代請求
残業代は、法定内残業に対するものであれ、法定労働時間外の労働に対するものであれ、いずれにせよ「賃金」として扱われるため、上記と同様の消滅時効にかかります。
不当解雇する会社は残業代も不払いの場合も多いため、時効にかかる前に訴えを起こすなどして時効の完成を妨げる必要があります。
④退職金請求権
退職金の発生があるかどうかは、就業規則などに定めがありますが、解雇であっても退職金が発生することがあります。
退職金請求は、5年で消滅時効にかかります。
もっとも、かかる請求は、解雇が有効なものであることを前提としているため、労働契約上の地位の確認および、当該期間中の給料請求と、退職金請求がすべて認められることはありません。
しかし、訴訟に際しては、予備的請求として、一括して審理の対象とすることができます。
労働問題でお困りの方は葉方法律事務所までご相談ください
不当解雇があった場合には、多くの請求が考えられますが、労働契約上の地位の確認を除く、金銭の請求に関しては、いずれも消滅時効期間が定められています。
消滅時効が完成すると、当該金銭の請求を行うことができないため、時効が完成する前に請求に着手して、時効の完成を妨げることが必要となります。
もっとも、時効の完成に関することや、労働問題については、専門的な知識・経験が必要となるケースも多いため、不明点がある場合には、早急に弁護士に相談することで、適切な助言を受けることが期待できます。
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