家賃の支払いが毎月遅れる借主への対処法とは
借主が毎月家賃を滞納しているような場合に、どのような措置をとることができるのかというご質問をよくいただきます。
今回はあまり知られていない、家賃滞納者に対する措置を解説していきたいと思います。
◆強制退去はできるか
ドラマや映画のワンシーンで家賃滞納者を強制退去させるようなシーンをご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。
実際には家賃滞納があったからといって直ちに強制退去をさせることはできません。
その理由として、賃貸借契約は貸主と借主の合意に基づいて締結される契約であり、互いの権利と義務のバランスが調整されているからです。
そこで、賃貸借契約は、期間の定めがありそれが終了した場合、賃貸借の目的物が滅失した場合、使用収益の不能といったような場合にのみ終了するものであり、売買契約のように契約の不履行や不適合により解除をすることができません。
しかし、家賃を滞納し続けている借主をこれ以上住まわせ続けることはできないというのが貸主の合理的な意思でしょう。
そこで「信頼関係破壊法理」というものがあります。
賃借人の契約不履行が当事者間の信頼関係を破壊するようなものである場合には、賃貸人は催告をすることなく契約を解除することができます。
信頼関係が破壊されたと判断される基準としては、最低でも3ヶ月以上家賃の滞納が続いている状態が一つの目安となっています。
◆強制退去までの流れ
信頼関係破壊により、強制退去を行う前に穏便に解決を図ることができないかを確認しておくことも重要です。
①督促する
家賃滞納に気がついた段階で、すぐに賃借人に連絡をし、支払いを催促しましょう。
すぐに連絡を入れるべき理由としては、支払われるまで様子を見ていると、賃借人が滞納しても催促されないと理解してしまい、状況が悪化してしまう可能性があるからです。
電話やメール等を使って督促してもなお、支払いがない場合には「書面」で催告書を送付して支払いを求めましょう。
②内容証明郵便
上記の方法によっても支払われない場合には、内容証明郵便を用いて家賃と遅延損害金の支払いを請求します。
内容証明郵便は、郵便局や差出人に控えが残るため、送付した郵便物の内容を後からでも証明できるという特殊な方式の郵便となっています。
また、内容証明郵便は裁判前に利用されることが多くなっているため、受取人にプレッシャーを与えることができます。
③3ヶ月程度が経過した段階で、解除通知を送る
この段階になって初めて信頼関係の破壊があったとして、賃貸借契約の解除をすることが可能となります。
そこで内容証明郵便によって、未払い賃料と遅延損害金の支払いを求めるとともに、相当期間内に支払いがない場合には、賃貸借契約を解除するという内容の書面を送付しましょう。
④未払い賃料支払いと明渡しの訴訟を提起する
上記の通知を送ってもなお、相手が支払いに応じない場合には、訴訟を提起することになります。
訴訟で勝訴することができれば、裁判所から支払い命令と明渡し命令が出る上、相手が従わない場合であっても強制執行が可能となります。
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