【遺留分侵害額請求】手続き方法と時効について解説
相続では、遺言によって財産のほとんどが特定の相続人や第三者に渡ってしまい、「自分の取り分がまったくない」といったケースもあります。
相続人には、最低限保障される取り分として「遺留分」が認められており、侵害された場合に「遺留分侵害額請求」で不足分を取り戻すことが可能です。
今回は、遺留分侵害額請求の概要から、実際の手続き方法、そして請求できる期間(時効)を解説いたします。
遺留分侵害額請求とは
そもそも遺留分とは、配偶者や子どもなど一定の相続人に保障されている「最低限の取り分」です。
たとえ被相続人(亡くなった方)が生前に財産を贈与したり、遺言で他のひとに遺贈したりしても、遺留分までは奪われることはありません。
もし遺言や生前贈与によって、相続人が本来もらえるはずの遺留分を受け取れなかった場合、その相続人(遺留分権利者)は侵害された分を請求できます。
これを「遺留分侵害額請求」と呼びます。
遺留分侵害額請求の手続き方法
まずは内容証明郵便などで、相手方に「遺留分を侵害されているので請求する」旨を通知します。
その後、申立書や被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍)、相続人全員の戸籍謄本などの必要書類を揃え、管轄の家庭裁判所へ申立てます。
申立人は、遺留分を侵害された相続人(配偶者・子・直系尊属など。ただし兄弟姉妹は対象外)であり、家庭裁判所で手続きを進めるのが原則です。
調停では、調停委員が双方から事情を聞き取り、資料を確認しながら話し合いを進めます。
解決案の提示や助言を通じて合意形成を目指し、もし話し合いで解決できなければ、審判や訴訟に進むこともあります。
遺留分侵害額請求の時効
遺留分侵害額請求には、2つの期間制限があります。
- 時効(侵害を知った時から1年)
- 除斥期間(相続開始から10年)
それぞれ確認していきましょう。
時効(侵害を知った時から1年)
「相続が始まったこと」と「遺留分を侵害する贈与や遺贈の存在を知った日」の両方を満たしたときからカウントして1年です。
意思表示がないまま1年を過ぎると、たとえ遺留分を大きく侵害されていても請求できなくなります。
除斥期間(相続開始から10年)
被相続人が亡くなった日(=相続開始日)から起算します。
「侵害を知っていたかどうか」に関係なく、相続開始から10年が経過すると請求できなくなります。
これは「除斥期間」と呼ばれるもので、絶対的な期限です。
まとめ
たとえ遺言や生前贈与によって取り分が減らされても、遺留分侵害額請求を行うことで不足分を取り戻せる可能性があります。
ただし請求には「侵害を知った時から1年」もしくは「相続開始から10年」という期間制限があり、期限を過ぎれば権利は完全に消滅します。
遺留分の侵害が疑われる場合は、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談することが重要です。
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